金属・缶のリサイクルガイド

缶は約60日で新しい缶に生まれ変わります。正しい分別で資源循環に貢献しましょう

ご注意

このガイドは一般的な金属・缶の分別方法をご紹介する参考資料です。自治体によってルールが異なりますので、正確な情報はお住まいの自治体のホームページや分別ガイドブックをご確認ください。

缶の種類と識別マーク

日本で使われている缶は、主に「アルミ缶」と「スチール缶」の2種類です。それぞれに識別マークが表示されており、分別の目安になります。

識別マークの見分け方

種類 識別マーク 特徴 代表的な製品
アルミ缶 「アルミ」マーク(丸い矢印の中に「アルミ」) 軽い、磁石に付かない、簡単につぶせる ビール、炭酸飲料、コーヒー(一部)
スチール缶 「スチール」マーク(丸い矢印の中に「スチール」) 重い、磁石に付く、硬くてつぶしにくい 缶詰、粉ミルク、缶コーヒー(一部)、お茶

磁石を使った簡単な見分け方

識別マークが見つからない場合は、磁石を使って見分けることができます。

  • 磁石に付く → スチール缶: 鉄を主原料としているため、磁石に反応します
  • 磁石に付かない → アルミ缶: アルミニウムは非磁性体のため、磁石に反応しません

また、缶を手で軽く押してみるのも有効です。簡単にへこむのがアルミ缶、硬くてへこみにくいのがスチール缶です。

識別マークの法的根拠

日本では「資源有効利用促進法」に基づき、飲料・酒類用のアルミ缶とスチール缶には識別マークの表示が義務付けられています。マークは缶の側面や底面に刻印またはプリントされています。食品用の缶詰には義務ではありませんが、多くのメーカーが自主的に表示しています。

リサイクルできる金属製品

資源ごみ・金属として出せるもの

  • 飲料缶: ビール、ジュース、コーヒー、お茶の缶
  • 食品缶: ツナ缶、コーン缶、フルーツ缶、缶詰全般
  • 菓子缶: クッキー缶、せんべい缶、のり缶
  • 粉ミルク缶: 赤ちゃん用ミルクの缶
  • スプレー缶: ヘアスプレー、制汗スプレー(使い切って穴を開ける※)
  • カセットボンベ: 卓上コンロ用ガスボンベ(使い切って穴を開ける※)

※ スプレー缶やカセットボンベの穴開けについては、自治体によりルールが異なります。穴開け不要としている自治体も増えています。

缶として出せないもの

  • 塗料・ペンキ缶: 中身が残っている場合は処理困難ごみ
  • 一斗缶(18L缶): 大型のため粗大ごみ扱いの自治体が多い
  • 農薬・薬品の缶: 有害物質が付着しているため専門処理が必要
  • オイル缶: 油が付着している場合は不燃ごみ

分別方法

自治体によって、アルミ缶とスチール缶を分けて回収する場合と、まとめて「缶」として回収する場合があります。お住まいのルールを確認しましょう。

回収パターン 説明 対応する自治体の例
一括回収 アルミ缶とスチール缶を分けずに「缶」として回収。処理施設で磁石選別機により自動分別 東京23区の多くの区、大阪市など大都市
分別回収 アルミ缶とスチール缶を分けて別々に回収 一部の中小自治体
金属類として回収 缶に加え、小型金属製品も一緒に回収 横浜市、名古屋市など

自治体の分別ルールを確認する方法

  • 分別ガイドブック: 転入時に配布される冊子をチェック
  • 自治体のウェブサイト: 「ごみの出し方」「ごみ分別」で検索
  • ごみ分別アプリ: 多くの自治体が専用アプリを提供しています
  • 集積所の表示: ごみ集積所に貼られた分別表を確認

正しい出し方

缶を資源ごみとして正しく出すための手順を確認しましょう。

1

中身を出す

飲料や食品の中身を完全に出し切ります。飲み残しや食べ残しがないようにしましょう。

2

軽くすすぐ

水で2~3回すすいで中をきれいにします。油分が多い缶は少量の洗剤を使いましょう。

3

つぶす(アルミ缶)

アルミ缶は軽く踏んでつぶすと、収集・運搬の効率が上がります。スチール缶は無理につぶさなくてOK。

4

指定日に出す

お住まいの自治体の「缶」または「資源ごみ」の収集日に、指定の場所に出します。

スプレー缶・カセットボンベの出し方

スプレー缶やカセットボンベには特別な注意が必要です。

  • 中身を使い切る: 必ず中身を完全に使い切ってから出してください
  • 穴を開ける(自治体による): 穴開けを求める自治体では、屋外の風通しの良い場所で専用器具を使って穴を開けてください
  • 穴開け不要の自治体も: 火災事故防止のため、穴開け不要としている自治体が増えています。必ず自治体のルールを確認しましょう
  • 他の缶と分ける: スプレー缶・カセットボンベは「有害ごみ」や「危険ごみ」として別回収の自治体もあります
  • 火気厳禁: 穴開け作業は絶対に火の近くで行わないでください

缶詰のフタの処理

  • 缶と同じ素材のフタ: 缶の中に折り込んで一緒に出す(ケガ防止のため)
  • プラスチックのフタ: 外して「プラスチック」として分別
  • プルタブ: 缶から外す必要はありません。そのまま出してOK

缶の出し方のポイント

  • すすぎで十分: ピカピカにする必要はありません。目に見える汚れが取れればOK
  • ラベルは付いたままでOK: 紙やフィルムのラベルは、リサイクル工程で処理されます
  • つぶしすぎに注意: ペチャンコにすると中が洗えなくなるので、軽くつぶす程度にしましょう
  • たばこの吸い殻を入れない: 缶を灰皿代わりにすると、リサイクル不可能になります
  • 缶以外のものを混ぜない: 乾電池や小さなプラスチック片を缶の中に入れないでください

小型金属類の分別

缶以外の小型金属製品も、適切に分別することでリサイクルできます。ただし、自治体によって回収方法が大きく異なりますのでご注意ください。

金属製品 一般的な分別区分 備考
なべ・フライパン 不燃ごみ or 金属類 コーティングが付いていても金属として回収する自治体が多い
やかん・ボウル 不燃ごみ or 金属類 ステンレス製は金属として回収
包丁・ナイフ 不燃ごみ 厚紙で包み「キケン」と表示して出す
針金ハンガー 不燃ごみ or 金属類 クリーニング店で回収している場合もあり
アルミホイル 可燃ごみ or 不燃ごみ 自治体により異なる。汚れている場合は可燃ごみ
傘の骨 不燃ごみ 布部分を外し、金属部分のみ不燃ごみへ

注意が必要な金属製品

  • 乾電池: 有害ごみとして回収拠点に出す(水銀含有の可能性)
  • 充電式電池・バッテリー: 家電量販店やホームセンターの回収ボックスへ
  • 消火器: 自治体では回収不可。メーカーや専門業者に依頼
  • ガスボンベ(プロパンなど): 販売店に返却またはガス会社に依頼

リサイクルの流れ

回収された缶は、アルミ缶とスチール缶で異なるリサイクル工程を経て、新しい製品に生まれ変わります。

アルミ缶のリサイクル工程

  1. 回収・選別: 自治体や回収業者が収集。磁石選別機でスチール缶と分離し、風力選別で軽量なアルミ缶を選び出す
  2. プレス: 大量のアルミ缶を圧縮してブロック状にまとめ、運搬効率を向上
  3. 溶解: 約660度Cの比較的低い温度でアルミを溶かす。塗料やラベルは燃焼除去される
  4. 精錬: 溶けたアルミから不純物を取り除き、品質を均一にする
  5. 鋳造: アルミインゴット(塊)に成形。1つのインゴットは約150万本の缶に相当
  6. 圧延: インゴットを薄い板状に延ばし、新しい缶の材料に加工
  7. 製缶: 板から新しい缶を成形。約60日で再び店頭に並ぶ

缶から缶へ:約60日の循環

アルミ缶は、回収されてから約60日で新しいアルミ缶として生まれ変わります。この「缶 to 缶(Can to Can)」のリサイクルは、アルミの品質を落とさずに何度でも繰り返すことができるため、「水平リサイクル」と呼ばれています。

スチール缶のリサイクル工程

  1. 回収・選別: 磁石選別機でスチール缶を選び出す(磁石に付くため容易に選別可能)
  2. プレス: 圧縮してブロック状にまとめる
  3. 脱錫: 缶の表面に施されたスズのコーティングを電気分解で除去
  4. 溶解: 電気炉で約1,500度Cの高温で鉄を溶かす
  5. 精錬・鋳造: 不純物を除去し、鉄鋼インゴットに成形
  6. 圧延・加工: 鉄板、鉄筋、鋼管など様々な鉄鋼製品に加工

リサイクルされた金属の用途

アルミ缶から生まれる製品:

  • 新しいアルミ缶(缶 to 缶の水平リサイクル)
  • 自動車部品(エンジン、ホイール)
  • 建築材料(サッシ、手すり)
  • 家電製品の部品
  • 日用品(アルミ箔、調理器具)

スチール缶から生まれる製品:

  • 新しいスチール缶
  • 建築用鉄筋、H形鋼
  • 自動車のボディ
  • 鉄道のレール
  • 家電製品の構造部品
  • 橋梁の材料

日本の缶リサイクル率

日本の缶リサイクル率は世界でもトップクラスの水準を誇っています。

指標 アルミ缶 スチール缶
リサイクル率 約97.9% 約93.3%
年間消費量 約30万トン 約45万トン
世界での順位 世界トップレベル 世界トップレベル

日本のアルミ缶リサイクル率は世界トップクラス

日本のアルミ缶リサイクル率は約97.9%で、ブラジル(約98%)に次いで世界第2位の水準です。この高いリサイクル率は、以下の要因によるものです:

  • 自治体の分別回収: 全国の自治体が資源ごみとして缶を回収
  • 民間回収ルート: スーパーやコンビニの回収ボックス、自動回収機
  • 市民の高い意識: 分別やリサイクルに対する国民の意識が高い
  • 業界の取り組み: アルミ缶リサイクル協会の啓発活動

缶の自動回収機を活用しよう

最近では、スーパーマーケットやコンビニエンスストアに缶やPETボトルの自動回収機が設置されています。缶を入れるとポイントが貯まる仕組みの回収機もあり、リサイクルしながらお得にポイントを貯められます。お近くの設置場所を探してみましょう。

よくある質問

Q. アルミ缶とスチール缶を分けずに出しても大丈夫ですか?

分別せずに出してもリサイクルは可能なのか気になります。

A. 多くの自治体では一括回収しており、処理施設で磁石選別機により自動的に分別されます。ただし、分別回収を求める自治体もありますので、お住まいのルールをご確認ください。

Q. 缶はつぶして出した方がいいですか?

つぶすと選別機が認識できなくなるのではないかと心配です。

A. アルミ缶は軽く踏んでつぶして出すと、回収・運搬の効率が上がるため推奨されています。選別機は潰れた缶でも問題なく分別できます。ただし、スチール缶は硬いので無理につぶす必要はありません。

Q. 缶を洗わないで出しても大丈夫ですか?

溶かしてリサイクルするなら洗わなくてもいいのではないかと思います。

A. 軽くすすぐだけで構いません。ただし、汚れた缶は悪臭やハエの発生、カビの原因になります。回収作業員の方や近隣住民のためにも、最低限のすすぎはお願いします。

Q. さびた缶はリサイクルできますか?

古い缶でさびが出ている場合、リサイクルに出していいか迷います。

A. はい、さびた缶でもリサイクル可能です。溶解工程で不純物は取り除かれます。ただし、穴が開いて中身がすべて流れ出ているような缶は不燃ごみとする自治体もあります。

Q. プルタブは外して集めた方がいいですか?

車椅子と交換するためにプルタブを集めると聞いたことがあります。

A. プルタブは外さずに缶と一緒に出すのが基本です。プルタブの回収活動は一部団体で行われていますが、缶ごと出す方がリサイクル効率は高くなります。外したプルタブだけを集めるより、缶全体をリサイクルに出す方が環境負荷が低いです。

Q. 缶詰のフタは危なくないですか?

缶切りで開けたフタで収集員がケガをしないか心配です。

A. 缶詰のフタは缶の中に折り込んでください。外側に飛び出していると、回収時にケガの原因になります。中に入れれば安全に回収できます。

環境への貢献

缶リサイクルの環境効果

アルミ缶リサイクルの環境メリット

  • エネルギー削減: 新しくアルミを作る場合に比べて、約97%のエネルギーを削減
  • CO2排出削減: アルミ缶1トンのリサイクルで約9トンのCO2排出を削減
  • ボーキサイト採掘の削減: アルミ1トンを新規生産するには約4トンのボーキサイト鉱石が必要
  • 水資源の保全: 新規製造と比べて大量の水を節約
  • 無限リサイクル: 品質を劣化させることなく何度でもリサイクル可能

スチール缶リサイクルの環境メリット

  • エネルギー削減: 新しく鉄を作る場合に比べて約75%のエネルギーを削減
  • 鉄鉱石の節約: スチール缶1トンのリサイクルで約1.5トンの鉄鉱石採掘が不要に
  • CO2排出削減: 新規製造と比べて約58%のCO2排出を削減
  • 大気汚染の低減: 新規製造と比べて約86%の大気汚染物質を削減
  • 水の節約: 約40%の水使用量を削減

身近な数字で考える

  • アルミ缶1本のリサイクルで、テレビ約3時間分の電力を節約できます
  • アルミ缶を約60日で新しい缶に再生できます(缶 to 缶リサイクル)
  • スチール缶1トンのリサイクルで、石炭約0.5トンを節約できます
  • 日本全体で年間約70万トンの缶がリサイクルされています

私たちにできること

正しく分別する

中をすすぎ、自治体のルールに従って正しく出しましょう。それだけで大きな環境貢献です。

マイボトルを使う

缶飲料の代わりにマイボトルを持ち歩くことで、そもそものごみを減らせます。

回収ボックスを活用

外出先ではコンビニやスーパーの回収ボックスに缶を入れましょう。

金属製品を長く使う

ステンレスの水筒やフライパンは修理しながら長く使いましょう。

缶リサイクルの豆知識

  • アルミニウムの語源: ラテン語の「alumen(明礬)」に由来。19世紀には金よりも貴重とされていました
  • 世界初のアルミ缶: 1959年にアメリカのクアーズ社がビール用に開発しました
  • 日本のアルミ缶の歴史: 1971年にアメリカから技術導入し、国内生産を開始
  • プルタブの進化: かつてはタブが缶から外れるタイプでしたが、散乱防止のため現在のステイオンタブに進化
  • 缶の薄さ: 現在のアルミ缶の厚さは約0.1mm。軽量化技術の進歩で原料使用量も年々減少