プラスチックのリサイクルガイド

プラマークを確認して正しく分別。日本のプラスチックリサイクルルールを分かりやすく解説します。

ご注意

このガイドは一般的なプラスチック分別方法を紹介する参考資料です。分別ルールは自治体によって異なりますので、お住まいの地域の自治体ホームページや分別ガイドブックで正確な情報をご確認ください。

1 プラスチックの種類と識別マーク

プラマークとは

日本では、容器包装リサイクル法に基づき、プラスチック製の容器や包装には「プラマーク」が表示されています。このマークは、三角形の矢印の中に「プラ」と書かれたもので、リサイクル対象であることを示しています。

プラマークが付いている製品は、多くの自治体で「容器包装プラスチック」として分別収集されます。商品を包んでいたもの、入れていたものが対象です。

プラマーク付きの代表的な製品

  • 食品トレー: 肉・魚のトレー、弁当容器、惣菜パック
  • ボトル類: シャンプー・洗剤のボトル、調味料の容器
  • 袋・フィルム: レジ袋、食品の包装フィルム、菓子袋
  • カップ・パック: ヨーグルトカップ、プリン容器、卵パック
  • キャップ・ラベル: ペットボトルのキャップやラベル
  • 緩衝材: 発泡スチロールのトレー、エアークッション(プチプチ)

樹脂識別コード(リサイクルマーク)

プラスチック製品には、素材を識別するための樹脂識別コード(1~7の番号)が表示されていることがあります。日本ではこのコード表示は任意ですが、分別の参考になります。

番号 樹脂名 主な製品例 分別区分
1 PET ポリエチレンテレフタレート 飲料ボトル、調味料ボトル PETボトル(別途回収)
2 HDPE 高密度ポリエチレン 洗剤ボトル、買い物袋 容器包装プラスチック
3 PVC ポリ塩化ビニル ラップフィルム、パイプ 自治体により異なる
4 LDPE 低密度ポリエチレン 食品保存袋、ラップ 容器包装プラスチック
5 PP ポリプロピレン 食品容器、ストロー、キャップ 容器包装プラスチック
6 PS ポリスチレン 食品トレー、カップ麺容器 容器包装プラスチック
7 OTHER その他(複合素材など) CDケース、一部の食品容器 自治体により異なる

注意:PETボトルは別分別

樹脂コード1番のPET(ポリエチレンテレフタレート)製の飲料ボトルは、多くの自治体で「PETボトル」として別途回収されます。プラスチックごみとは分けて出しましょう。詳しくはPETボトルガイドをご覧ください。

2 分別方法

容器包装プラスチックと製品プラスチック

日本のプラスチック分別で最も重要なのが、「容器包装プラスチック」と「製品プラスチック」の区別です。2022年4月施行の「プラスチック資源循環促進法」により、製品プラスチックの一括回収を始める自治体も増えています。

容器包装プラスチック(プラマーク付き)

商品を包んでいたもの、入れていたもの。中身を取り出したら不要になるものです。

  • 食品トレー、弁当容器、惣菜パック
  • レジ袋、ポリ袋、食品の外装フィルム
  • シャンプー・洗剤のボトル
  • 菓子袋、おにぎりの包装
  • 卵パック、豆腐の容器
  • ペットボトルのキャップとラベル
  • 発泡スチロールのトレー

製品プラスチック

プラスチックでできた製品そのもの。プラマークは付いていません。

  • ハンガー、洗面器、バケツ
  • 歯ブラシ、くし、ヘアブラシ
  • おもちゃ、文房具(プラスチック製)
  • CD/DVDケース
  • プラスチック製の食器・カトラリー
  • 収納ケース、衣装ケース

リサイクルできないプラスチック

  • 汚れが落ちないもの: 油汚れや食品カスがこびりついたもの
  • 塗料・薬品の容器: 有害物質が付着しているもの
  • 注射器などの医療廃棄物: 専用の回収ルートで処理
  • 家電製品のプラスチック部品: 家電リサイクル法の対象
  • ゴムやシリコン製品: プラスチックとは異なる素材

対処法: これらは多くの自治体で「可燃ごみ」または「不燃ごみ」として出します。

分類 具体例 出し方
容器包装プラスチック 食品トレー、レジ袋、ボトル プラスチック資源の日
製品プラスチック ハンガー、おもちゃ、バケツ 自治体により異なる
PETボトル 飲料ボトル、調味料ボトル PETボトルの日(別途回収)
汚れたプラスチック 油汚れの容器、洗えないもの 可燃ごみ

3 出し方の手順

プラスチックごみを正しく出すための基本的な手順です。

1

中身を出す

容器の中身を完全に取り出します。食品の残りカスや調味料もできるだけ取り除きましょう。

2

軽くすすぐ

水で軽くすすいで汚れを落とします。油汚れがひどい場合はぬるま湯で洗います。完璧に洗う必要はありません。

3

水気を切る

洗った後は水気をよく切ります。水分が残っているとカビや臭いの原因になります。

4

指定袋に入れる

自治体指定のごみ袋に入れます。トレーやボトルはかさばらないように小さくつぶしましょう。

5

指定日に出す

自治体が定めた収集日の朝に、決められた集積所に出します。前日の夜出しはルール違反の場合があります。

出す前のチェックリスト

  • プラマークが付いているか確認しましたか?
  • 中身を取り出しましたか?
  • 水で軽くすすぎましたか?
  • 水気を切りましたか?
  • 指定のごみ袋に入れましたか?
  • 収集日を確認しましたか?

汚れの落とし方のコツ

  • マヨネーズ・ケチャップの容器: 容器を切り開いてから洗うと汚れが落ちやすい
  • 油の容器: ぬるま湯と少量の食器用洗剤で振り洗い
  • 納豆のパック: 水に数分つけてからすすぐとネバネバが取れる
  • カレーのレトルトパック: ぬるま湯ですすぐだけでOK
  • どうしても汚れが落ちない場合: 可燃ごみとして出す(無理に洗わなくてよい)

スーパーの店頭回収を活用しよう

多くのスーパーマーケットでは、食品トレーや牛乳パックなどの店頭回収を行っています。店頭回収に出すと、より高品質なリサイクルが可能になります。

  • 食品トレー: 白色トレーを中心に回収(色付きトレーは対象外の場合あり)
  • PETボトル: キャップ・ラベルを外して回収ボックスへ
  • 牛乳パック: 洗って乾かして開いた状態で回収

4 リサイクルの流れ

日本では、プラスチックのリサイクル方法として主に3つの手法が採用されています。それぞれの特徴を理解することで、分別の大切さがより実感できます。

マテリアルリサイクル(材料リサイクル)

使用済みプラスチックを溶かして、新しいプラスチック製品に再生する方法です。最も資源を有効活用できるリサイクル手法ですが、汚れや異物の混入に弱いため、きれいに分別・洗浄されたプラスチックが必要です。

マテリアルリサイクルで生まれ変わる製品

  • 公園のベンチ、遊具
  • 物流用パレット
  • 再生プラスチック容器
  • 土木・建設用資材
  • 文具(下敷き、ファイルなど)

ケミカルリサイクル(化学的リサイクル)

プラスチックを化学的に分解して、原料やガスに戻す方法です。マテリアルリサイクルが難しい汚れたプラスチックや複合素材にも対応できます。

サーマルリサイクル(熱回収)

プラスチックを焼却して、発生する熱エネルギーを回収・利用する方法です。日本ではこの手法が最も多く、プラスチックリサイクル全体の約60%を占めています。

サーマルリサイクルの現状

日本のプラスチックリサイクル率は約87%(2022年)と高い数字ですが、そのうち約60%がサーマルリサイクル(焼却による熱回収)です。国際的にはサーマルリサイクルを「リサイクル」に含めない基準もあり、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの比率を高めることが課題となっています。

リサイクル手法 特徴 日本での割合
マテリアルリサイクル プラスチックのまま再生 約21%
ケミカルリサイクル 化学原料に分解して再利用 約4%
サーマルリサイクル 焼却して熱エネルギーを回収 約62%

プラスチック1トンのリサイクル効果

  • 原油節約: 約1,000リットルの原油使用を削減
  • CO2削減: 焼却と比べて約2.5トンのCO2排出を抑制
  • 埋立量削減: 最終処分場の延命に貢献
  • 海洋汚染防止: 海に流出するプラスチックごみの削減

5 よくある質問

Q. 汚れが落ちないプラスチックはどうすれば?

水で軽くすすいでも汚れが落ちない場合は、可燃ごみとして出してください。無理に洗う必要はありません。汚れたプラスチックが混入すると、リサイクル全体の品質が低下してしまいます。

Q. プラマークがないプラスチック製品はどうする?

プラマークが付いていないプラスチック製品(ハンガー、おもちゃ、文房具など)は「製品プラスチック」です。自治体によって対応が異なります。

  • 一括回収の自治体: 容器包装プラスチックと一緒に出せる
  • 従来型の自治体: 可燃ごみまたは不燃ごみとして出す

お住まいの自治体のルールを確認しましょう。

Q. シャンプーボトルのポンプ部分は?

ポンプ部分には金属のバネが入っていることがあります。バネが取り出せない場合は、不燃ごみとして出してください。ボトル本体(プラマーク付き)はプラスチック資源として分別します。

Q. ラップやフィルムはプラスチックごみ?

プラマークが付いている食品ラップやフィルムはプラスチック資源として出せます。ただし、以下の点に注意してください。

  • 食品カスや油汚れが付いている場合は可燃ごみへ
  • 小さくたたんでまとめて出す
  • 塩化ビニル製ラップは自治体によって扱いが異なる

Q. 発泡スチロールはプラスチックと同じ?

発泡スチロール(PS:ポリスチレン)はプラスチックの一種ですが、多くの自治体では別の分類として回収しています。食品トレーとして使われている発泡スチロールは、スーパーの店頭回収を利用するのがおすすめです。

Q. プラスチック製のおもちゃや文具はどうやって捨てる?

プラスチック製のおもちゃや文具は「製品プラスチック」にあたります。

  • 小さいもの(30cm未満): 多くの自治体で可燃ごみまたはプラスチック資源
  • 大きいもの(30cm以上): 粗大ごみとして申し込みが必要な場合あり
  • 電池・モーター付き: 小型家電リサイクルとして回収

6 環境への影響と実践

プラスチック問題の現状

世界では年間約4億トンのプラスチックが生産され、そのうちリサイクルされるのはわずか9%程度です。日本は「リサイクル先進国」と言われますが、サーマルリサイクル(焼却)を除くと実質的なリサイクル率はまだ改善の余地があります。

海洋プラスチック問題

  • 毎年約800万トンのプラスチックが海に流出
  • 2050年には海のプラスチックの重量が魚の総重量を上回るとの予測
  • マイクロプラスチックが食物連鎖に入り込み、人体への影響も懸念
  • 日本近海でも深刻な海洋プラスチック汚染が確認されている

今日からできるプラスチック削減

1

マイバッグ持参

2020年からレジ袋有料化がスタート。エコバッグを常に持ち歩き、レジ袋の使用を減らしましょう。

2

マイボトル活用

ペットボトル飲料の代わりにマイボトルを使えば、年間100本以上のボトル削減が可能です。

3

詰め替え製品を選ぶ

シャンプーや洗剤は詰め替え用を購入。ボトルの使用量を大幅に減らせます。

4

使い捨てを避ける

ストロー、スプーン、フォークなどの使い捨てプラスチック製品をできるだけ断りましょう。

3Rの実践(Reduce, Reuse, Recycle)

プラスチックとの付き合い方で最も大切なのは3Rの優先順位です。

  • Reduce(リデュース): そもそもプラスチックの使用を減らす(最も効果的)
  • Reuse(リユース): 繰り返し使えるものを選び、何度も使う
  • Recycle(リサイクル): 使い終わったら正しく分別してリサイクルに回す

リサイクルも大切ですが、まずは使用量を減らすことが環境に最も貢献します。

正しい分別がもたらす効果

一人ひとりの正しい分別が、大きな環境効果を生み出します。

  • きれいに分別されたプラスチックは高品質な再生原料に生まれ変わる
  • リサイクル工場の処理効率が向上し、コスト削減につながる
  • 海洋や土壌へのプラスチック流出を防止できる
  • 化石燃料の消費を減らし、CO2排出量を削減できる
  • 循環型社会の実現に向けた大切な一歩になる