PETボトルのリサイクルガイド

日本のPETボトルリサイクル率は世界トップクラス。正しい分別方法を知って、高品質なリサイクルに貢献しましょう。

ご注意

このガイドは一般的なPETボトルの分別方法を紹介する参考資料です。収集ルールは自治体によって異なりますので、お住まいの地域の自治体ホームページや分別ガイドブックで正確な情報をご確認ください。

1 PETボトルとは

PETボトルとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)という樹脂で作られたボトルのことです。軽くて丈夫、透明性が高いことから、飲料容器として世界中で広く使われています。日本では「ペットボトル」とも呼ばれ、独自の識別マークで管理されています。

PETボトル識別マーク

日本のPETボトルには、「PETボトル識別表示マーク」(矢印の三角形の中に数字の1が入ったマーク)が表示されています。このマークが付いたボトルは、PETボトルとして分別回収の対象です。

PETボトルに該当するもの

  • 清涼飲料水: 水、お茶、ジュース、炭酸飲料
  • アルコール飲料: 一部のワイン、日本酒、焼酎
  • 調味料: しょうゆ、みりん、酢、めんつゆ
  • 乳飲料: 乳酸菌飲料、乳飲料(一部)

PETボトルに該当しないもの

  • 卵パック: PET素材でもPETボトルマークなし -- 容器包装プラスチックへ
  • カップ型容器: コンビニのサラダ容器など -- 容器包装プラスチックへ
  • 色付きボトル: 着色PETボトル(自治体により扱い異なる)
  • 洗剤・シャンプーボトル: PE・PP素材 -- 容器包装プラスチックへ
  • 油が入っていたボトル: 食用油のボトルは汚れが落ちにくいため、可燃ごみの場合あり
項目 PETボトル その他のプラスチックボトル
素材 ポリエチレンテレフタレート(PET) PE、PP、HDPEなど
識別マーク PETボトルマーク(1番) プラマーク
分別区分 PETボトル(別途回収) 容器包装プラスチック
透明度 高い(無色透明が主流) 不透明なものが多い
主な用途 飲料、調味料 洗剤、シャンプー、日用品

なぜPETボトルは別に分けるの?

PETボトルは他のプラスチックと比べてリサイクルしやすく、高品質な再生原料を作ることができます。別に回収することで、ボトルからボトルへの水平リサイクル(ボトルtoボトル)が可能になり、資源の循環利用が実現します。

日本のPETボトルリサイクル率

日本のPETボトルリサイクル率は約86%(2022年度)で、世界でもトップクラスの水準です。欧州(約52%)や米国(約28%)と比較しても非常に高い数値を維持しています。この高いリサイクル率は、消費者の丁寧な分別と自治体の回収体制によって支えられています。

2 正しい分別方法

PETボトルのリサイクル品質を高めるために、以下の4つのステップを実践しましょう。

1

ラベルをはがす

ボトルに巻かれたフィルムラベルをはがします。ミシン目に沿って切り込みを入れると簡単にはがせます。

2

キャップを外す

キャップを外し、キャップリング(口元のリング)もできれば取り外します。取れない場合はそのままでも大丈夫です。

3

中をすすぐ

水で軽くすすいで中身の残りを取り除きます。1~2回すすぐだけで十分です。

4

つぶして出す

ボトルを手や足で平らにつぶし、かさを減らしてから指定の回収場所に出します。

分別チェックリスト

  • PETボトルマーク(1番)を確認しましたか?
  • ラベルをはがしましたか?
  • キャップを外しましたか?
  • 中を水ですすぎましたか?
  • つぶしてかさを減らしましたか?
  • PETボトル専用の回収場所に出しましたか?

ラベルのはがし方のコツ

  • ミシン目を探す: ほとんどのラベルにはミシン目(切り取り線)があります。爪で軽くひっかくと見つけやすい
  • はがしにくい場合: ぬるま湯に数分つけると接着力が弱まり、はがしやすくなります
  • 直接印刷タイプ: ボトルに直接印刷されたラベルレスボトルも増えており、はがす手間がありません
  • 糊が残った場合: 完全に取れなくても大丈夫。リサイクル工場で除去されます

つぶし方のポイント

ボトルは縦方向(上から下へ)につぶすのが推奨されています。横方向につぶすと選別機で形状を認識しにくくなる場合があります。自治体によってはつぶさないで出すよう指示している場合もあるので、地域のルールを確認してください。

3 キャップとラベルの分別

PETボトルの分別で重要なのが、ボトル本体・キャップ・ラベルの3つに分けることです。それぞれ素材が異なるため、別々のリサイクルルートで処理されます。

部品 素材 分別先 リサイクル先
ボトル本体 PET(ポリエチレンテレフタレート) PETボトル回収 新しいPETボトル、繊維製品
キャップ PP(ポリプロピレン)/ PE(ポリエチレン) 容器包装プラスチック パレット、ベンチなど
ラベル PS(ポリスチレン)/ PP / PET 容器包装プラスチック 各種プラスチック製品
キャップリング PP(ポリプロピレン) ボトル本体と一緒でOK リサイクル工場で除去

なぜ分けることが大切?

  • 素材の違い: PET、PP、PSは溶ける温度が異なるため、混ざるとリサイクル品質が低下する
  • 比重の違い: PETは水に沈むが、PPキャップは水に浮く。この性質を利用してリサイクル工場で分離している
  • 色の問題: 色付きキャップやラベルがボトルに混入すると、透明な再生PETが作れなくなる

エコキャップ運動

日本ではPETボトルのキャップを集めてリサイクルし、その売却益を途上国のワクチン購入費用に充てる「エコキャップ運動」が広く知られています。学校や企業で回収活動が行われており、キャップ約860個(2kg)でポリオワクチン1人分に相当するとされています。

4 PETボトルリサイクルの流れ

回収されたPETボトルは、いくつかの工程を経て新しい製品に生まれ変わります。

1

回収・選別

自治体や事業者が回収したPETボトルを、リサイクル工場で異物やキャップ残りを取り除きながら選別します。

2

圧縮・梱包

選別後のボトルを圧縮して「ベール」と呼ばれる直方体のブロックにまとめ、リサイクル事業者に引き渡します。

3

粉砕・洗浄

ベールをほぐしてボトルを細かく粉砕し、温水やアルカリ液で徹底的に洗浄。ラベルやキャップの残りも除去します。

4

フレーク・ペレット化

洗浄したPET片(フレーク)を乾燥・溶融して、小さな粒状のペレットに加工します。これが再生PET原料です。

5

新製品の製造

再生PETペレットから新しいPETボトルや繊維製品、シート材などが製造されます。

ボトルtoボトル(水平リサイクル)

近年注目されているのが「ボトルtoボトル」と呼ばれるリサイクル手法です。使用済みPETボトルから、新しい飲料用PETボトルを製造する技術で、品質を落とさずに何度でもボトルに再生できます。

ボトルtoボトルの意義

  • 資源の完全循環: 石油由来の新しい原料を使わずにボトルが作れる
  • CO2削減: 新規製造と比べてCO2排出量を約60%削減
  • 品質維持: 食品容器として使える安全性・品質を維持
  • 無限リサイクル: 理論上、何度でもボトルに再生可能

日本では大手飲料メーカーがボトルtoボトルの取り組みを積極的に推進しており、2030年までにボトルtoボトル比率50%を目指す企業も増えています。

その他のリサイクル製品

PETボトルから生まれ変わる製品

  • 繊維製品: ポリエステル繊維として衣類、フリース、ユニフォームなどに活用
  • シート材: 食品トレーや卵パックなどの透明容器に再生
  • 文具: クリアファイル、下敷き、ペンケースなど
  • 土木資材: 排水管、杭、防草シートなど
  • 自動車部品: カーペット、内装材、断熱材
リサイクル製品 必要なPETボトル数(目安)
Tシャツ 1枚 約8本(500ml)
フリースジャケット 1着 約25本(500ml)
ネクタイ 1本 約2本(500ml)
エコバッグ 1つ 約5本(500ml)
新しいPETボトル 1本 約1本(同サイズ)

5 よくある質問

Q. 色付きのPETボトルはどうする?

緑色や茶色など着色されたPETボトルは、自治体によって扱いが異なります。

  • PETボトルとして回収: 無色透明ボトルと一緒に出せる自治体が多い
  • 注意: ボトルtoボトルリサイクルには不向きなため、繊維などに再生される
  • トレンド: メーカー各社が無色透明ボトルへの切り替えを進めている

Q. キャップリングが取れないけど大丈夫?

ボトルの口元に残るキャップリングは、無理に取る必要はありません。リサイクル工場の洗浄・選別工程で自動的に除去されます。手を傷つけるリスクがあるので、そのまま出してください。

Q. 潰さないで出してもいい?

自治体によってルールが異なります。

  • つぶして出す: 回収時のかさを減らして効率的に運搬するため(多くの自治体)
  • つぶさないで出す: 選別機でボトルを認識しやすくするため(一部の自治体)

お住まいの地域のルールに従ってください。

Q. お茶やコーヒーの色が残っているけど?

水ですすいでも多少の色が残ることがあります。軽くすすいで目に見える汚れがなければ問題ありません。完璧に透明にする必要はありません。ただし、カビが生えている場合は可燃ごみとして出してください。

Q. 潰れて変形したPETボトルはリサイクルできる?

はい、変形していてもPETボトルとしてリサイクルできます。重要なのは素材がPETであることです。凹みやシワがあっても問題ありませんので、通常通りラベルとキャップを外してから出してください。

Q. 海外のPETボトルはどうする?

輸入品のPETボトルでも、日本のPETボトルマークが付いていれば同様に分別できます。マークがない場合でも、素材がPETであれば多くの自治体でPETボトルとして回収可能です。不明な場合は自治体に確認してください。

6 環境への影響

PETボトルリサイクルの環境効果

PETボトルを正しくリサイクルすることは、環境保全に大きく貢献します。一人ひとりの分別行動が、地球規模の効果を生み出しています。

PETボトル1トンのリサイクル効果

  • CO2削減: 約3.2トンのCO2排出を抑制(新規製造比)
  • 原油節約: 約700リットルの原油を節約
  • エネルギー削減: 新規製造と比べて約60%のエネルギーを節約
  • 埋立量削減: 最終処分場の延命に貢献
  • 海洋汚染防止: 海に流出するプラスチックごみの削減

日本のPETボトルリサイクルの課題

改善が必要な点

  • 自動販売機横の回収率: 自販機横の回収箱にPETボトル以外のごみが混入し、リサイクル品質が低下
  • ボトルtoボトル比率: 現在約30%程度。2030年までに50%を目標に取り組み中
  • 使用量の増加: 便利さから消費量が増え続けており、そもそもの使用削減が課題
  • 異物混入: タバコの吸い殻や液体が残ったボトルがリサイクル品質を下げる

PETボトル使用量を減らすために

1

マイボトルを持ち歩く

外出時にマイボトルを持参すれば、年間で100本以上のPETボトル削減が可能です。

2

給水スポットを活用

公共施設や商業施設の給水機を活用。「mymizu」などのアプリで近くの給水スポットを探せます。

3

浄水器を使う

自宅に浄水器を設置すれば、ミネラルウォーターのPETボトル購入を大幅に減らせます。

4

ラベルレスボトルを選ぶ

ラベルレスのPETボトル飲料を選べば、ラベルをはがす手間がなく分別が簡単になります。

知っておきたいPETボトルの豆知識

  • 日本の年間PETボトル出荷量: 約59万トン(2022年度)、約245億本に相当
  • 1人あたり消費量: 年間約200本(日本人平均)
  • リサイクル量: 約51万トン(回収率約98%、リサイクル率約86%)
  • ボトルの軽量化: 1990年代比で約40%軽量化が進んでおり、資源使用量も削減
  • リサイクルPETの用途: 繊維が約45%、シートが約25%、ボトルが約25%

一人ひとりの分別が未来をつくる

日本の高いPETボトルリサイクル率は、一人ひとりの丁寧な分別があってこそ実現しています。ラベルをはがし、キャップを外し、中をすすいで出す -- この小さな行動の積み重ねが、資源の循環と環境保全につながっています。正しい分別を続けることで、持続可能な社会の実現に貢献しましょう。